2012.5.25
スピノザの『エチカ』を読んだ。
※なんか、『エチカ』っていう文字がリンクになったり、画像がリンクになってたりとか、どうやるんすかね。気が向いたら調べて直す。
五部構成をとる。
第一部「神について」
第二部「精神の本性及び起源について」
第三部「感情の起源及び本性について」
第四部「人間の隷属あるいは感情の力について」
第五部「知性の能力あるいは人間の自由について」
※そのうち、それぞれの部について書いて、こっからリンクで飛べるようにしたいんだけど、HTMLとかもう忘れちゃってまじてへぺろ。つまり受験勉強ファック。
◆概要
少数の公理から出発し演繹により定理を導いていくという、幾何学的な手法による哲学の体系。精緻で、整然とした体系。もはや興奮しちゃう。
厳粛に幾何学的手続きに従い、神を起点として、人間精神の営みを解き明かし、理性を讃え、各人が理性に従って生きることこそが人類全体にとっての善であると、説く。
◆感想
スピノザという人の哲学に、感動した。
17世後半のオランダ。
そのことは、彼の生きた時代と場所において、身の危険を意味した。
彼の友人であり、保護者(スポンサー的な)であった政治家が虐殺されると、その反対派によって、オランダ議会は席巻される。
そのような圧倒的な憂き目の中において、彼は、無常な自己の神を信仰し、人間の理性への信頼を抱き続ける。
本書は、気が遠くなる努力の結晶、確たる信仰心、高潔な倫理だ。
「人間に人間ほど有益なものはない。」
人間不信にならざるべからざるような境遇において、どうすればそのようなことを言いうるのだろう。
哲人、という当たり前な呼称が、改めて、浮かんできた。
◆勉強してて
自然言語が好きだ。厳密に一義に決定することなどできはしないのに、それでも合意の範囲を探る努力を私たちは続けることを与儀なくされている。
そのような、そもそも厳密な数学的演繹による体系の構築に不向き、というよりも、それと相入れない、そんなツールを用い、高密度の努力によって危うい体系を築くその営みに、敬意を表さずにおれない。
「わかる」ことは「わける」ことだ。
人間は、インクの沁みにすらパターンを見出さずにはおれない。
壮大な、沁みのパターン分析の事業だと思う。
ぼくは美しい「無駄」を愛する。それをまた、確認した。